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ふれあいセンター(集会所)

仮設団地の集会所「ふれあいセンター」の設置

阪神・淡路大震災では当初、仮設住宅団地に集会所はなく、入居者の自治会活動等には近隣の公的施設等を使用していました。1995年5月、仮設住宅団地内にコミュニティ形成を目的とした集会施設「ふれあいセンター」の設置が決まり、7月から順次設置が始まりました。設置基準は、100戸以上の団地に一か所(のちに50戸以上に緩和)、最大で232か所で設置されました。仮設住宅が設置され、運営協議会が結成された後にふれあいセンターが設置される条件になっていたため、センター開設までに時間がかかったことが反省点として指摘され、以後の災害では仮設住宅と同時に集会施設が設置されることとなりました。

ふれあいセンターは、行政情報の提供や相談等生活支援アドバイスの他、保健師などによる健康づくりの指導、住民自治組織・ボランティア団体の活動拠点となりました。見知らぬ者同士が入居した仮設住宅でのコミュニティづくり、閉じこもりや「孤独死」などの課題に対して、ふれあいセンターは入居者の交流の場となると同時にボランティアや地域団体の活動拠点となり、入居者の生活支援に大きく役立ちました。給湯室、高齢者に配慮した車椅子用トイレ等を備え、集会室、事務室兼相談室、休憩室(和室)が備えられ、市によっては「ふれあい推進員」(神戸市)を配置したり、ボランティア団体や住民による「ふれあい喫茶」の開催、手芸教室、仮設住宅入居者への健康診断、災害復興公営住宅募集団地周辺の生活便利施設等のマップづくりの活動等、様々な活動の拠点となりました。

「ふれあいセンター」の運営管理

ふれあいセンターの建設費は一か所あたり約822万円(県と復興基金で二分の一ずつ負担)で、年間200万円の運営費は県・市・復興基金の三者が負担しました。運営は仮設住宅住民代表・地元住民・ボランティア等からなる「運営協議会」に任されましたが、入居者は順次、仮設住宅からは退去するため、社会福祉協議会等の地元団体の関わり等で、一定レベルの運営を維持できるよう配慮が必要でした。
ふれあいセンターの鍵の管理や運営費をめぐっては、一部の住民に過度な負担が集中したり、複数の住民やボランティア団体の間で意見対立が見られた等の報告もあります。一部の住民への負担の集中を避けるために、自治会と運営協議会を全く異なる組織体として立ち上げることを支援したボランティア団体もありました。自治(ルール作り等)に関わる住民と、ふれあいセンターの活用を考える住民を分けることで、一部住民への権限の集中を防ぎ、風通しの良いコミュニティ形成につながりました。

ボランティア団体がふれあいセンターの鍵や運営費の一部を預かった例もありましたが、住民主体の運営協議会が鍵や運営費を監理することが基本でした。年間200万円の運営費を管理することは簡単なことではないですが、住民のコミュニティづくりに大きな影響を与えました。支援されるばかりだった被災者にとって、事務所で自分たちの会計管理をやり遂げることは、次の仕事への心理的なステップにつながりました。

活かされた「ふれあいセンター」の経験

ふれあいセンターの果たした役割は、復興公営住宅においても「コミュニティプラザ」に受け継がれました。高齢入居者の支援やコミュニティづくりの拠点として標準設置され、様々な入居者支援の取り組みが展開されました。集会所機能の重要性を踏まえ、2000年の厚生省(当時)の告示で仮設住宅を50戸以上同一地域または近隣に設置した場合、集会所を設置できることを定め、その後の新潟県中越地震や能登半島地震などでも活用されました。2008年厚生労働省「応急仮設住宅の設置に関するガイドライン」でも紹介されています。

<参考資料>
厚生労働省「応急仮設住宅の設置に関するガイドライン」(2008),日本赤十字社WEBサイトwww.jrc.or.jp/vcms_lf/oukyuu_guideline.pdf
「伝える」阪神・淡路大震災の教訓(2009) 兵庫県阪神・淡路大震災復興フォローアップ委員会

 


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