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ともに住まう応急仮設住宅「地域型仮設住宅」

地域型応急仮設住宅

阪神・淡路大震災では、自宅の被災により在宅で介護できなくなったり、避難所等で生活していた身体的・精神的に特別な配慮が必要な高齢者、障害者およびその家族を対象に、ケア付きの応急仮設住宅が設置されました。「地域型応急仮設住宅」と呼ばれた仮設住宅には、市街地での用地不足への対策として、居間スペース等を共有する一般向けのものもありましたが、大半が高齢者・障害者を対象とする「高齢者・障害者地域型応急仮設住宅」と呼ばれたものでした(以下、高齢者・障害者対象のものを「地域型仮設」と略します)。

地域型仮設には、昼間のみ常駐する生活支援員(LSA:LifeSupportAdviser)が、入居者の生活を側面的にサポートする「生活援助員派遣型」と、24時間体制で見守りや生活支援を行う「グループホーム型」がありました。いずれも、段差のない入り口、車いす対応のトイレ・洗面台・流し台等のバリアフリー配慮がされ、居間、浴室、トイレには緊急呼び出しブザーを設置、1階の浴室には低い浴槽と手すり等、高齢者等への配慮のある仕様対応でした。ケア付きの応急仮設住宅は、民間事業者からの提案が行政に積極的に取り入れられて阪神・淡路大震災で初めて取り組まれたものですが、その後、厚労省が定める基準でも「福祉型仮設」として設置が言及され、(社団)プレハブ建築協会でも一定のバリアフリー仕様のものが供給できるようになっています。

表1)地域型仮設住宅

出典)「伝える」―阪神淡路大震災の教訓,阪神・淡路大震災復興フォローアップ委員会(2009)

全国初の「グループホーム型」地域型仮設

兵庫県芦屋市では、1995年4月、被災者の被災前の居住地から近い場所に、全国初の24時間体制で入居者を見守る地域型仮設が設置されました。芦屋市から委託された尼崎市の社会福祉法人の職員が運営を担い、夜間には三人が常駐。様々な年齢や障害をもつ高齢者や障害者の共同生活でしたが、住み慣れた地域から程近く交流が保てたことと、専門家によるケアや入居者同士のインフォーマルなケアのある生活で、多くの入居者の状態改善が報告されています。
グループホーム型地域型仮設の提案者で運営受託団体の副理事長(当時)・市川禮子さんは、「入居開始当時は病院へ入居者を搬送することが続いたが、食事の充実に力をいれることで夏には入居者の健康は安定し、入居者の満足度も一般の仮設住宅と比較して非常に高い」ことを語っています。グループホーム型地域型仮設は芦屋市、西宮市、尼崎市、宝塚市に順次、設置されました。

神戸市の「生活支援員派遣型」地域仮設
神戸市では生活援助員(LSA)の派遣事業を中心に、訪問相談や安否確認、必要に応じて関係機関や福祉サービス等のコーディネート、緊急対応等を実施。日中のみの活動が主となるので、夜間の緊急対応の仕組みづくりが課題となりました。被災者に高齢者が多かったことから、1995年度は6人、翌96年は13人だったLSAの人員を、97年59人、98年104人と漸次増やし(最大時で113人)、復興公営住宅の高齢者見守りへと活動は継続されました。

<参考資料>
阪神・淡路大震災復興10年総括検証・提言報告(3/9)(平成17年3月発行)編・復興10年委員会
検証テーマ『ユニバーサルデザインのまちづくり』検証担当委員 市川 禮子http://web.pref.hyogo.jp/contents/000038705.pdf
阪神・淡路大震災10年−市民社会への発信震災復興市民検証研究会(2001)
「伝える」―阪神淡路大震災の教訓,阪神・淡路大震災復興フォローアップ委員会(2009)
災害対策全集全4巻,ひょうご震災記念21世紀研究機構災害対策全書編集企画委員会(2011)


(印刷用)