東日本大震災被災地応援プロジェクト!
(C)一般財団法人 ダイバーシティ研究所
 
ダイバーシティに配慮した避難所・まちづくり・復興計画を
 

トップページ |  開設主旨 |  プロジェクト紹介 | 企業による復興支援  |  お問い合わせ(ダイバーシティ研究所)


企業による復興支援  
寄付で応援する商品  
   
被災者の「生きがい」仕事づくり  
   
復興・自立と支援のマッチング  
   

企業による復興支援【寄付付き商品事例(1)】

会社名:株式会社ラッシュジャパン http://www.lushjapan.com/
商品名:ボディクリーム「チャリティポット」(2,200円、税込)
ソープ「希望の輪」(800円、税込)

全国約150店のショップやオンラインで、寄付対象商品を購入すれば、被災地で直接支援活動をしている団体が支援できるのがラッシュジャパンの「チャリティポット」という寄付プログラムだ。寄付の対象商品は、野菜や果物を原料にしたボディクリーム(保湿クリーム)やカラフル色なソープということもあり、支援活動に参加する人のなかには、10代もいるという。チャリティ・キャンペーン担当の秋山映美さんに聞いた。

*******

ダイバーシティ研究所(以下、D):チャリティポットについて教えてください。

― 2007年9月からスタートしている寄付のしくみで、商品名でもあります。お客様が購入されたボディクリーム「チャリティポット」の購入代金(2200円)のうち、消費税以外の全額が寄付されるしくみで、震災以前は、環境保護団体や人権擁護団体に寄付してきました。
3月11日以降は、被災地で支援活動を行っている団体に寄付をしています。震災後に考案した「希望の輪」というガーベラの花をイメージしたソープ(800円)も寄付対象になり、15団体に合計3,230万円を寄付(11月25日時点)することができました。

D:多くの企業が日本赤十字社や中央共同募金を寄付先に選んでいますが

― ラッシュは現地で支援を行っている団体を支援先にしました。311直後、すぐに支援を開始したかったので、過去にラッシュが支援した団体のなかから、すでに被災地支援を開始しているところを探したのです。

D:311以前の通常支援では、社会的に意義がある活動をしながらも、資金が集まりにくい団体を支援されていましたが、今回の寄付先についてはどうですか。

― 過去の支援団体以外にもコンタクトをとりました。ホームページで寄付や具体的な物資の寄付を呼びかけているところや、すでに現地入りしているスタッフの現場レポートなどを読んで、気になった団体を調査したのです。最終的には電話で年間予算や活動内容などをヒアリングしつつ、こちらから声をかけた団体が支援先から外れることがないよう、実際にその団体を知っている人からも話を聞きました。各団体ごとにA4一枚に活動内容をまとめ、役員会で検討しました。

3月、4月と、品川のオフィスで被災地支援にかかりっきりだった秋山さんは、寄付金とは別に、ラッシュが送った支援物資が本当に被災地の人に役立っているのか確信がもてず不安になった。「あの頃は精神的に不安定でした」(秋山さん)そんな気持ちがふっきれたのは、被災地の訪問だったという。


秋山映美さん 
ラッシュジャパン品川オフィスにて

D:5月に石巻を訪問したときのことを教えてください。

― 社長を含む3人で、支援先の一つ、フェアトレード東北を頼りに、現地入りしました。電話では想像できなかった状態が、実際によくわかるようになったことが大きいです。例えば、フェアトレード東北のスタッフは、孤立した集落を訪問し、困っていることはないか聞いてまわっています。そのなかの一軒は、津波で被害をうけた家で、今もその家に人が住んでいると聞いていました。どういう状態なのか理解できませんでしたが、かろうじて破損を免れた二階部分で暮らしているということだったのです。
 毎日お風呂にはいれない避難所や、ヘドロや水産加工工場からの流出物のニオイが気になる地域では、香りのあるラッシュのソープは喜ばれていることもわかりました。支援物資が役に立っていないのでは、という不安はなくなりました。

D:現地訪問がもたらしたものは。

― 「こういう支援がしたい」という、こちらの希望の受け入れ先を探すのではなく、被災地のニーズに対して、いかにラッシュが応えられるのか、常に考えるようになりました。
 また、現地訪問の段階では、支援先に決定していなかった団体があったのですが、直接彼らの活動現場を社長とともに見ることで、彼らの支援活動の重要さが伝わり、支援先に加えることができました。

被災地支援を目的とした支援活動に終わりはない。そのためにも、震災への関心を社内外の人に持ち続けてもらえるよう、ラッシュとして何ができるのか常に考えているという。

D:関心を維持するために取り組んでいることは。

― ラッシュは製造から販売までのプロセスに関わっているので、ショップに買い物に来てくださるお客様と直接コミュニケーションがとれるのです。ショップを情報発信の拠点とし、ディスプレイ、魅力的な寄付対象商品の開発などに力を注いでいます。
 こんなこともありました。被災地で支援物資としてラッシュの商品をもらった方が、親戚をたよって東京に来た際のこと。辛かったときにラッシュの商品をもらったことに感謝していると、涙ながらに話して下さったそうです。スタッフももらい泣きしながら、被災地の状況をその方からお聞きしたそうです。これを機に、15人ほどのショップのスタッフがすでに始めていた、埼玉県の旧騎西高校に避難されている双葉町の方へのハンドマッサージや足湯のボランティア活動に、新しく加わったスタッフもいました。
 有給のボランティア休暇も震災後導入され、これまでに6人のスタッフが、ラッシュの支援先団体でボランティアをしました。全国のショップの店長が集まる会議では、支援団体の方に話しをしてもらったり、現地の映像を上映しました。
 「ラッシュは震災を忘れないし、同じようにお客様にも忘れないでいてほしい。被災された方には、私たちはみなさんのことを忘れないということを知ってもらいたいです」(秋山さん )

(取材後記)
もし400人が寄付対象商品を購入し、100万円の寄付が実現したら、それは被災地のことを考える機会を、ラッシュが400人に提供したことになる。商品代金は全額寄付。初めてチャリティ商品を買う人にとっても、わかりやすいしくみだ。(奥田みのり)

緊急時には情報発信まで手が回らない支援団体も多かったと想像するが、秋山さんは過去の支援団体等に自ら連絡を取り、支援先を決めていかれたという。チャリティポットの精神が今回の震災時支援にも活かされたことを感じた取材だった。復興には継続的な支援が必要。寄付を続けることや、何度もボランティアに行くことは難しいかもしれないが、「忘れていない」というメッセージも込めて、今後の商品選びの参考にしたい。(須磨珠樹)

取材日:2011年11月16日     
取材:奥田みのり (フリーライター)
文責:一般財団法人ダイバーシティ研究所 

※「チャリティポット」の仕組みについて
http://www.lushjapan.com/ethical/charitypot/index.asp

※「東日本大震災」への『チャリティポット』支援(11月25日現在)について
http://www.lushjapan.com/whatsnew/whatsnewList.asp?id=193#info193


(印刷用)