クック＆ダイン「南部鉄器・手作り両手鍋」他　【寄付付き商品（５）】

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	企業による復興支援
	寄付で応援する商品
	├味の素冷凍食品株式会社　「東北に元気を！明日を耕すプロジェクト」　　ギョーザ、おつまみギョーザ、他 ├公益財団法人京都地域創造基金　　「カンパイチャリティキャンペーン」 ├有限会社クック＆ダイン　　「南部鉄器・手作り両手鍋」他 ├株式会社不二家　　「カントリーマアムアソート東北応援」 ├SC. Cosmetics株式会社　　スチームクリーム「LOVE FOR JAPAN」 ├グンゼ株式会社「快適工房」他 └株式会社ラッシュジャパン　　ボディクリーム「チャリティポット」他
	被災者の「生きがい」仕事づくり
	├株式会社福市　「東北支援プロジェクトEAST LOOP」 └ソーケングループ　「癒し一番　間伐材　ひのき」
	復興・自立と支援のマッチング
	├株式会社ベネッセコーポレーション　　「進研ゼミ高校講座　努力賞ポイント募金」 └株式会社東京証券取引所　　「震災復興支援グッズ」

企業による復興支援【寄付付き商品事例（５）】

会社名：　有限会社クック＆ダイン http://www.cook-dine.com/
商品名：　南部鉄器・手作り両手鍋　IH対応　12,600円（うち、1,000円を寄付）
　　　　　　南部鉄器・グリル用ベイクパン　　　　5,225円（うち、200円を寄付）
　　　　　　野田琺瑯製オリジナルマグカップ 1,500円（うち、200円を寄付）

岩手県奥州市の及精鋳造所で作られている南部鉄器・手作り両手鍋。
大事に使えば、一生ものどころか、孫の代まで使える優れもの。

クック＆ダインは、ネット通販で食材や調理具を扱っている企業だ。食と食文化を大切にし、安全で、美味しいものをまじめに丁寧に作っている生産者や商品とつながり、必要な情報をお客様に届けながら、持続可能な生産環境づくりに寄与している。そのクック＆ダインで企画された寄付付き商品が、南部鉄器の両手鍋・グリル用ベイクパン、野田琺瑯のオリジナルマグカップの３種類だ。

クック&ダインのホームページには、『愛ある料理と食卓と。「三浦半島まるかじり　クック＆ダイン」』とある。取締役社長の山口壮一さんは、10年以上前、東京から三浦半島の付け根の横浜市・六浦に引っ越し、そこで三浦半島の魚の美味しさを知った。週末は港に行き、新しい魚と出会った。しかし、地元で獲れる美味しい魚は大手流通には乗らず、身近なスーパーで購入することができない。地元で美味しい食材が獲れるにも関わらず、なぜ地元で手に入れることができないのだろうか。

食への想いを強くした山口さんは会社員を辞め、2001年にクック&ダインを設立した。2011年には10周年を迎え、今では北海道から沖縄まで顧客を持つ。

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南部鉄器と野田琺瑯で被災地を応援

今回、寄付付き商品として販売している南部鉄器の生産地は岩手県。クック&ダインと取引のあった株式会社及精鋳造所（岩手県奥州市）は、幸い被害は少なく、震災から3日後には製造を再開した。及精鋳造所は調理道具だけでなく、自動車のエンジンを製作しており、そのサプライチェーンを止めないためにも、迅速に再開された会社だ。

クック&ダインでは、及精鋳造所の両手鍋やグリル用ベイクパン等南部鉄器の商品を扱っている。両手鍋1個につき1,000円が、グリル用ベイクパン1個につき200円が寄付になる仕組みだ。

南部鉄器・グリル用ベイクパン

販売を通じて、良い商品を世間に紹介するだけでなく、2011年4月以降は“物づくり”のストーリーも紹介していく予定だった。その矢先に東日本大震災が起きる。しかし、取材をすることで、被災地応援につなげたいと、山口さんは当初の予定通り4月中旬に及精鋳造所を訪問し、職人の技でつくられる南部鉄器の製造現場を取材した（※）。
※「南部鉄器　鋳造工場レポート」　　http://www.rakuten.ne.jp/gold/cook/rupo/oisei_report1.html

また、もう一つの寄付付き商品であるオリジナルマグカップは、クック&ダインの10周年記念として企画されたものだ。 10周年を迎えることができた、自分たちのHappyな想いを被災地の支援につなげたいと考え、野田琺瑯製のオリジナルマグカップを作り、2011年6月から販売している。こちらは、1個につき、200円が寄付となる。

野田琺瑯といえば、雑貨屋やインテリアショップでも人気の商品。そのため、現在はほとんどオリジナル商品の注文を受け付けていない。その野田琺瑯で、オリジナル商品を作ることができたのも、野田琺瑯と山口さんとのこれまでのお付き合いによるものだ。

　
10周年オリジナルマグカップ（裏面には看板犬Gontaの似顔絵とともに
「がんばろう、ニッポン！」の文字が書かれている）

AMDA社会開発機構（AMDA　MINDS）への支援

寄付金は、特定非営利活動法人AMDA社会開発機構（AMDA MINDS）に届けられている。AMDA MINDSは、岡山県に本部のあるAMDAグループに属する団体で、中長期にわたり開発途上国で社会開発事業を行っている。震災後は、被災地での医療活動、復興支援を行ってきた。

震災前から、クック&ダインでは寄付付き商品の企画を始めており、AMDA　MINDSへ寄付することを検討していた。当初は国際協力活動へ寄付する予定であったが、AMDA　MINDSが被災地支援をすることを知り、東日本大震災復興支援活動に寄付をすることに決めた。 AMDA MINDSに寄付することになったのは、AMDA MINDSの鈴木俊介理事長が山口さんの会社員時代の同期だったことがきっかけだ。旧知の友人が関わるAMDA MINDSの活動内容は震災前からよく知っていた。団体への信頼もあり、準備はスムーズに進めることができた。

寄付だけでなく、オリジナルマグカップも40個ほどAMDA MINDSに提供している。こちらは、AMDA MINDSのイベント等で販売し、その売上を復興支援活動に充当していただいているという。

被災農家と被災地域の雇用促進を支援

クック＆ダインでは、寄付付き商品販売以外にも、食材の通販で復興のきっかけづくりをしてきた。

宮城県南三陸町で、住民の高台移転の候補地だった土地を購入し、町に寄付したことでニュースにもなった元楽天副社長・本城慎之介さん。本城さんと喰い倒れ仲間だった山口さんは、本城さんから被災地での復興支援活動について話を聞いていた。自分にできることは何か、そう考えていたとときに本城さんから紹介されたのが、南三陸町の農家である小野政道さんだ。

小野さんの畑にも津波が押し寄せたが、幸いにして育てていたトマトが生き延びていた。小野さんのトマトを購入することで、地元の被災農家の雇用につなげようと、2011年6月から7月にかけて、雇用促進プログラム付きの販売コースを設け、WEBでは被災地の状況も紹介した。

通販では、トマトのみを販売するコース、雇用支援Aコース（1,100円の支援金付き）、雇用支援Bコース（5,100円の支援金付き）の3通りを設定した。結果、通常のコースは70セット、Aコースは67セット、Bコースは78セットを販売することができた。

支援金付きコースの販売数が、これだけ多かったのは、消費者にもせっかく買うなら同時に支援につなげたいという思いがあったからだろう。小野さんは、この支援金を新たな設備購入にあて、地元の雇用の場づくりにつなげている。

被災地の復興支援イベントを支援

クック＆ダインが取引をしていた鮮魚店のある岩手県宮古市も大きな被害を受けた地域だ。
「取引先であった伊藤魚店の伊藤稔さんと連絡がつかず、googleパーソンファインダー等で伊藤さんを探していました。10日後、ようやく伊藤さんが無事でいることを知って安心しました。鮮魚店の店舗も運搬用の軽トラックも津波で流されています。震災からしばらく経った夏の頃でも、まだ以前のように漁ができる状況ではないと聞き、何か復興のお手伝いができないかと考えていました」（山口さん）

宮古市魚市場には、仲買人青年部でつくる「ワカシの会（※）」というグループがある。伊藤さんも所属するワカシの会が宮古復興のために、10月に復興支援ライブイベントを実施するという。そこで、8月には「宮古の朝獲りさんま」にイベント支援金2,000円を付けた商品も販売した。また、イベントにはオリジナルマグカップも提供し、売上げをワカシの会で復興支援に使っていただいた。
※「ワカシ」とは出世魚であるブリの幼魚の名前

小野さんのトマト、そして宮古のさんま、どちらも購入者にはメールで支援のフィードバックをしている。

最後に

クック&ダインでは、寄付付き商品の販売終了期間を決めていない。
「続けられるまでは継続的に支援したいと考えています。被災地では瓦礫も撤去され、状況は少しずつ良くなってはいます。しかし、それと同時に、被災地外では、震災そして被災地を忘れつつあります。だからこそ、“さりげなく”、しかし、継続的な支援が必要だと思っています」（山口さん）

購入者のブログで、クック&ダインの寄付付き商品が紹介されたり、「寄付付き商品を作っているのはすばらしい」という商品レビューをいただいたこともあるという。
少しずつ支援の輪が広がっている。被災地で頑張っている人々のことを忘れてほしくないという思いから、山口さんは今後もWEBを通じた情報発信を続けていく。

（取材後記）
グリル用ベイクパン、両手鍋、マグカップの売上から寄付された支援金の額は、毎月ホームページで報告されている。その額は、2011年6月～2012年2月までの8か月で161,500円になった。どの商品も、一度買ったら長く愛用できる商品なので頻繁に購入するものではないが、毎月着実に寄付を届けられているのは、口コミやレビューから新たに共感した購入者が広がっているからだろう。「さりげなく、継続的に」。その言葉が印象的だった。（須磨珠樹）

取材日：2012年2 月15日
取材：須磨珠樹
文責：一般財団法人ダイバーシティ研究所

＊特定非営利活動法人AMDA社会開発機構（AMDA　MINDS）
http://www.amda-minds.org/index.php/

＊特定非営利活動法人AMDA社会開発機構　クックアンドダインの寄付付き商品紹介
http://www.amda-minds.org/index.php/business/cookdine/

＊宮城県南三陸町・小野さんの「完熟・はるちゃんトマト」の紹介
　　※販売は終了しています
http://www.rakuten.co.jp/cook/125972/1848144/

＊株式会社小野花匠園（小野さんの農園のホームページ）
http://onokashouen.com/onokashouen.com/index.cgi

＊復興支援・寄付金付き「岩手・宮古漁港直送　初物サンマ」の紹介
　　※販売は終了しています
http://www.rakuten.co.jp/cook/125972/1848163/

（印刷用）